【雑記】医者と患者にも相性はあると思うし、同じことを言われても響く言い方と響かない言い方ってある。
突発性難聴だったであろうめまいを放置されたお話を書きましたが、
これ以外でも何度か耳鼻科に耳のことでお世話になったことがあります。
もともと音楽大好きだったわたしは、大学生になってから色々なアーティストのライブに行くようになりました。
最初は「〇〇ホール」みたいな大きなところに行っていたのですが、だんだんとライブハウスへ行く機会が増えていきました。
ライブハウスも最初の頃は後ろの方とか真ん中にいたのですが、楽しくなると前へ前へ行くようになり、気がつくとスピーカーのすぐ近くに立っているようなことも増えていました。
そうなるともちろんのように耳に影響が出てきます。
とあるライブに行った後、耳鳴りが翌朝になっても続いていたことがありました。
心配になって耳鼻科に行き、右耳が聞こえにくいのは以前からであることを説明し、いくつか薬を処方されました。
2、3日で症状は改善しました。
その後も毎回ではないのですが同じようなことがあり、同じ病院にお世話になりました。
診察中に怖い顔をして怒られました。
「右耳の難聴があるのに何度も同じことを繰り返して…。どうしても行きたいなら耳栓をしなさい。いつか本当に耳が聞こえなくなるぞ!」
今思えばごもっともです。
というか、当時友人にも「先生の言う通りでしょう」と言われました。
でもわたしは「ライブに行って耳栓するとか意味がわからん」としか思えなかったんです。
耳が聞こえなくなるかもっていうことを、自分に当てはめることができなかったんです。
わたしはかわらずライブに行き、また耳鳴りがひどくなりました。
でも同じ病院には行きづらい…。よし、ちょっと遠いけど他の病院に行こう!
当時は車を持っていなかったので、自転車でシャカシャカ離れた耳鼻科を受診しました。
その耳鼻科の男の先生は特に怒ることもなく、結構大きな音がなるライブに行くんだねーみたいな話をしながら診察をして、薬を処方してくれました。
ついでに突発性難聴だったかもしれない話をしたところ、もう意味がないかもしれないけどもう一度だけステロイド試してみようかということになりました。
ステロイド治療が終わって再診し、やっぱりもう効果ないか…と結果の説明を受けた後のことでした。
「これあげる」と2枚のCDーRを手渡されました。
「僕の好きな曲集めたやつ。一度聴いてみて。」と。
まだ家のどこかに置いてあると思いますが、1枚目の最初の曲が「Deep Purple」の「Smoke on the Water」だったことだけははっきりと覚えています。
その先生、大学時代は軽音部に所属していたのだそう。
そして「耳は大事だよ。右耳はもう仕方ないけどね、左耳を大事にしよう。」と言われました。
それ以降、大好きなライブに行くのはやめませんでしたが、体調が悪い時は行かない、耳鳴りがひどくなったら外で休憩するなど、無理をしてまで行くことはなくなりました。
そして、長い時間耳鳴りに苦しむこともなくなりました。
よく考えてみれば、一人目の先生も二人目の先生も言っていることは同じなのです。
やってくれていることも同じなのです。
ただ二人目の先生は偶然ライブ好きだっただけなのです。
医者になってから「なんでこんなに分かりきっていることができないんだろう。甘えじゃないか。」と思うことが正直あります。
きっとあの一人目の耳鼻科の先生はわたしに対して同じことを思ったでしょう。
今となっては申し訳なく思いますし、他人を理解するって難しいよね、と共感してしまうことすらあります。