低用量ピルのススメ。将来こどもがほしい若い女性へ。
わたしは20代半ばから30代前半にかけての約6年間、低用量ピルを飲んでいました。
きっかけは産婦人科に進んだ大学時代からの友人の一言。
「将来子供が欲しくて今こどもを作る予定がないなら、ピル飲んだ方がいいよ」
結果的にとてもよかった、良いことだらけだったと思っています。
研修医の先生に女医さんがいると、当時の友人と同じセリフを言っている自分がいます。
今日はそんな低用量ピルのススメを綴ります。
そもそも「低用量」ピルってなに?
ピルとは避妊を目的に作られたホルモン製剤です。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が配合されています。
「低用量」はこのうちのエストロゲンの量が「少ない」ピルになります。
中用量ピルというものもあります。これは不正出血、過多月経、子宮内膜症などの治療薬として使われます。
低用量ピルも避妊のためだけの薬ではありません。月経痛を和らげたり、月経血の量を減らしたり、月経前症候群(PMS)を改善したりといった効果もあるため、それを目的に処方されることもあります。
低用量ピルを飲むメリット
生活の中でのメリットはたくさん
「何で生理なんてあるんだろう。生理がなければ楽なのに!」と、女性なら誰しも考えたことがあるのではないでしょうか?
残念ながら低用量ピルを飲んでも生理は来ます。
ただ、前述の通り量が減ります。わたしはピルを飲み始めてから自分は月経過多だったのではないかと思ったほどに量が減りました。
それに生理のタイミングがわかりますし、コントロールができます。「●日から旅行に行くから、生理が1週間早く終わるように調整しよう。」なんてこともできるのです。
毎年海外旅行や海外への学会遠征をしていたわたしにとっては一番助かったことです。海外での生理は本当にめんどくさい!
生理痛に悩まされることもほとんどなくなりました。全くなくなった訳ではありませんでしたが、産後に生理が再開したときに「生理痛で苦しんだのは7, 8年ぶりかもしれない。ピル飲みたい。」と夫に話したくらいでした。
産婦人科へ定期的に通院する理由になる
ピルは産婦人科で処方されます。
ピルを飲んでいる間は定期的な診察と子宮頸がん検査を受ける必要があります。
産婦人科って敷居が高くないですか?なかなか受診する機会がないという方も多いでしょう。
3ヶ月に一回ピルをもらいに行けば、3ヶ月に一回先生と話す機会があります。診察を受ける機会もあります。若い人に多い子宮頸がんの検査も確実にできます。
低用量ピルを飲んでいると将来妊娠しやすくなる?
友人がわたしにピルを勧めてくれた一番の理由はここでした。
低用量ピルを飲むことで将来妊娠しやすくなるというエビデンスは残念ながらありません。
しかし、産婦人科をしている友人やその周囲の産婦人科医は「ピルを飲んでいた方が将来的に妊娠しやすい」と考えているとのことでした。
女性のお腹の中には卵子がありますが、この数は生まれた時から決まっていて、どんどん減っていきます。
低用量ピルを飲むと排卵を抑えてくれるのですが、卵子はホルモンとは関係なく、排卵とも関係なく、成熟することなく毎日減っていきます。ピルを飲んでいれば卵子が減らないというわけではないのです。
排卵のとき、卵巣には小さな炎症が起きると考えられています。卵巣から卵が飛び出してくるのですから、傷がつかないわけがないですよね。傷がつけば炎症は起こります。
この小さな炎症の積み重ねが卵子の質を下げる可能性が考えられているのです。
排卵が起きなければ炎症が起きない。炎症が起きなければ卵子の質が保たれる。ということなのです。
副作用が出ることもあります
ホルモン剤ですので、副作用が問題になることもあります。
吐き気がでたり、乳房が痛くなったり、ニキビが出る人もいます。
一番怖いのは血栓症。血管の中で血が固まって、脳梗塞や肺塞栓(エコノミー症候群とよばれるやつです)、心筋梗塞になる可能性があります。
この血栓症になりやすい人はわかっています。「肥満の人」「喫煙者」「年齢が上がるほど」。
40歳以上はピルは慎重投与になります。
35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人はピルは飲めません。
また手術を受ける時には申告する必要がありますし、長時間のフライトの時は合間に運動するなど注意する必要があります。
ピルをやめてから妊娠まで
わたしの場合は、子供が欲しい、作ろうと夫と決めてからピルをやめました。
6月から飲むのをやめて8月に妊娠しました。
もしかしたらわたしが妊娠しやすい体質だったのかな?という思いもありますが。
ただ、早めに子供が欲しかったわたしたちは3ヶ月妊娠しなければ「かかりつけの」産婦人科に相談しに行く予定でしたし、定期的に検査を受けていたことから子宮や卵巣に大きな問題はない自信はありました。
低用量ピルに関心のある方は一度産婦人科に行って話を聞いてみてはいかがですか?