ファイザー社のコロナワクチン mRNAワクチンってなに?
先日わたしが接種した新型コロナウイルスに対するワクチンは、ニュースなどでも伝えられているようにファイザー社のワクチンでした。
このワクチンは「mRNAワクチン」といって、実用化されるのは初めてのワクチンです。
今まであったものは「生ワクチン」「不活化ワクチン」。あとは「トキソイド」です。
これらのワクチンとはどういうものか説明していきます。
生ワクチンとは
はしか、おたふくかぜ、みずぼうそうなどのワクチンです。
「生」と名のつく通り、「生きた」ウイルスや細菌を注射します。症状が出ない、かつ免疫が作れるギリギリまで弱めたものになります。普通に感染するよりも免疫反応は弱くなるため複数回摂取する必要が出ててくるものや、副反応として元々の病気の軽い症状が出ることもあります。
不活化ワクチンとは
インフルエンザや小児の肺炎球菌、ポリオ、日本脳炎などのワクチンです。
ウイルスや細菌の毒性を完全になくしたもので、免疫を作るために必要な部分だけを接種します。複数回の接種が必要ですが、その病気の症状がでる心配はありません。
トキソイド
破傷風などのワクチンです。
その名の通り「毒素」を接種するのですが、もちろんその毒性は無くされています。免疫ができるときに毒素が重要な感染症に限られるため、他のワクチンよりも種類は少なくなっています。
mRNAワクチン
今話題のmRNAワクチン。メッセンジャー・アールエヌエー・ワクチンと読みます。
RNAとはアミノ酸でできた鎖のようなもので、遺伝子情報になります。mRNAとはタンパク質を作るための情報が記されている設計図だと思ってください。
新型コロナウイルスのmRNAワクチンは、特殊な殻の中にmRNAをいれています。ここには新型コロナウイルスのスパイクと呼ばれるトゲのような部分のタンパク質情報が記されています。
このワクチンを接種すると、mRNAは人の細胞の中に入り、リボソームというタンパク質製造機がくっついてタンパク質を作ります。
つまし、体の中で新型コロナウイルスのスパイク部分のタンパク質が作られるわけです。
人の免疫はこのタンパク質に反応して抗体を作ります。
設計図となったmRNAはとても壊れやすいものですので体の中で分解されます。
大学院生の頃、実験でよくRNAを抽出していました。
とても不安定なため常に温度に気をつかい、-80度で保存をしていました。
懐かしい。。。
初めてのワクチンであることや「遺伝子情報」を含んだワクチンということで不安がる声も上がっていますが、mRNAは分解されやすいという点は安心材料ではないかと思っています。
また、同時期に全世界の人口分を大量に作るとなると、大量に作りやすいという点でmRNAワクチンは適しています。
ただ、有効性だけでなく安全性に関しても長期間のデータをとって欲しいものですね。
低用量ピルのススメ。将来こどもがほしい若い女性へ。
わたしは20代半ばから30代前半にかけての約6年間、低用量ピルを飲んでいました。
きっかけは産婦人科に進んだ大学時代からの友人の一言。
「将来子供が欲しくて今こどもを作る予定がないなら、ピル飲んだ方がいいよ」
結果的にとてもよかった、良いことだらけだったと思っています。
研修医の先生に女医さんがいると、当時の友人と同じセリフを言っている自分がいます。
今日はそんな低用量ピルのススメを綴ります。
そもそも「低用量」ピルってなに?
ピルとは避妊を目的に作られたホルモン製剤です。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が配合されています。
「低用量」はこのうちのエストロゲンの量が「少ない」ピルになります。
中用量ピルというものもあります。これは不正出血、過多月経、子宮内膜症などの治療薬として使われます。
低用量ピルも避妊のためだけの薬ではありません。月経痛を和らげたり、月経血の量を減らしたり、月経前症候群(PMS)を改善したりといった効果もあるため、それを目的に処方されることもあります。
低用量ピルを飲むメリット
生活の中でのメリットはたくさん
「何で生理なんてあるんだろう。生理がなければ楽なのに!」と、女性なら誰しも考えたことがあるのではないでしょうか?
残念ながら低用量ピルを飲んでも生理は来ます。
ただ、前述の通り量が減ります。わたしはピルを飲み始めてから自分は月経過多だったのではないかと思ったほどに量が減りました。
それに生理のタイミングがわかりますし、コントロールができます。「●日から旅行に行くから、生理が1週間早く終わるように調整しよう。」なんてこともできるのです。
毎年海外旅行や海外への学会遠征をしていたわたしにとっては一番助かったことです。海外での生理は本当にめんどくさい!
生理痛に悩まされることもほとんどなくなりました。全くなくなった訳ではありませんでしたが、産後に生理が再開したときに「生理痛で苦しんだのは7, 8年ぶりかもしれない。ピル飲みたい。」と夫に話したくらいでした。
産婦人科へ定期的に通院する理由になる
ピルは産婦人科で処方されます。
ピルを飲んでいる間は定期的な診察と子宮頸がん検査を受ける必要があります。
産婦人科って敷居が高くないですか?なかなか受診する機会がないという方も多いでしょう。
3ヶ月に一回ピルをもらいに行けば、3ヶ月に一回先生と話す機会があります。診察を受ける機会もあります。若い人に多い子宮頸がんの検査も確実にできます。
低用量ピルを飲んでいると将来妊娠しやすくなる?
友人がわたしにピルを勧めてくれた一番の理由はここでした。
低用量ピルを飲むことで将来妊娠しやすくなるというエビデンスは残念ながらありません。
しかし、産婦人科をしている友人やその周囲の産婦人科医は「ピルを飲んでいた方が将来的に妊娠しやすい」と考えているとのことでした。
女性のお腹の中には卵子がありますが、この数は生まれた時から決まっていて、どんどん減っていきます。
低用量ピルを飲むと排卵を抑えてくれるのですが、卵子はホルモンとは関係なく、排卵とも関係なく、成熟することなく毎日減っていきます。ピルを飲んでいれば卵子が減らないというわけではないのです。
排卵のとき、卵巣には小さな炎症が起きると考えられています。卵巣から卵が飛び出してくるのですから、傷がつかないわけがないですよね。傷がつけば炎症は起こります。
この小さな炎症の積み重ねが卵子の質を下げる可能性が考えられているのです。
排卵が起きなければ炎症が起きない。炎症が起きなければ卵子の質が保たれる。ということなのです。
副作用が出ることもあります
ホルモン剤ですので、副作用が問題になることもあります。
吐き気がでたり、乳房が痛くなったり、ニキビが出る人もいます。
一番怖いのは血栓症。血管の中で血が固まって、脳梗塞や肺塞栓(エコノミー症候群とよばれるやつです)、心筋梗塞になる可能性があります。
この血栓症になりやすい人はわかっています。「肥満の人」「喫煙者」「年齢が上がるほど」。
40歳以上はピルは慎重投与になります。
35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人はピルは飲めません。
また手術を受ける時には申告する必要がありますし、長時間のフライトの時は合間に運動するなど注意する必要があります。
ピルをやめてから妊娠まで
わたしの場合は、子供が欲しい、作ろうと夫と決めてからピルをやめました。
6月から飲むのをやめて8月に妊娠しました。
もしかしたらわたしが妊娠しやすい体質だったのかな?という思いもありますが。
ただ、早めに子供が欲しかったわたしたちは3ヶ月妊娠しなければ「かかりつけの」産婦人科に相談しに行く予定でしたし、定期的に検査を受けていたことから子宮や卵巣に大きな問題はない自信はありました。
低用量ピルに関心のある方は一度産婦人科に行って話を聞いてみてはいかがですか?
【雑記】そういえばちょっと前にコロナワクチンうちました。
3月と4月の話になりますが、新型コロナウイルスに対するワクチンを接種しました。
医療従事者であり、地方ではありますがそれなりに大きい病院に勤務していることもあり、接種は比較的早い時期だったと思います。
副作用の話がネットやニュースでは多く見聞きされますね。
接種前に不安はなかったか?と聞かれれば、幼い子供もいますし不安はありました。
もし自分に何かあったら…と。
ただ、どんなワクチンにも副作用はあります。神経系の後遺症が残る方もいます。
それに医療従事者として発熱している方などCOVID-19の可能性がある方との接触は避けられず、自分が感染すれば家族に感染させることはほぼ間違いないと思いましたので、接種に関しては積極的に受け入れました。
実際に副作用はありました。
もちろん今元気ですので、重篤なものではありません。
1回目の接種は3月某日の15時でした。注射自体は全く痛みもなく、その後もしばらくは何も問題なく帰宅しました。
夕方頃から接種した側の腕が重く感じました。
その日の夜中、隣で寝ていた娘に腕を蹴られて激痛で起きました。
翌日は接種した左の三角筋だけが筋肉痛で腕をあげることが苦痛に感じるほどでしたが、朝をピークに痛みは徐々に軽快し、翌日には全く痛みはありませんでした。
2回目の接種は4月のあたまでした。時間は同じ15時。注射自体はやはり痛みもありませんでしたが、接種直後から少し重いような違和感がありました。
その後は違和感は消失し、1回目接種の夕方に感じた重い感じもありませんでした。
翌朝、起床時から倦怠感がありました。熱は37.1度。
だるいけど問題なく動ける程度だったため、普段よりはりきって家の掃除をしていました。
ところがお昼前からだんだんと倦怠感がひどくなり、寒気を感じ始めました。
なんとか娘のお昼ご飯を用意しましたが、自分は食べる気になれず横になっていました。
娘と一緒に昼寝をしようと思っていたのですが、だんだんと息苦しくなり、寒気がひどくなり、腰や太ももの筋肉痛がひどくなり…。
10年以上前に経験したインフルエンザに感染した時と同じようなキツさが襲ってきました。
「お母さんと遊ぶ」という娘は夫に回収されていき、寒気が落ち着いた頃に少し眠ることができ、15時頃に熱を測ると38.6度。
そこがピークであとは徐々に解熱し、筋肉痛も和らいでいきました。
翌朝(接種2日後)は6時に起床しましたが、スッキリ爽快!!
ずっと悩まされていた肩こりまで軽くなっているというおまけ付きでした。
私の様子を見ていた夫は「ワクチン接種したくない」と言っていましたが、肺に持病を抱える夫は感染、重症化すれば死んでしまうこと間違いなしですので、順番がきたら接種して欲しいと話しています。
ワクチン接種をするかしないかは、国にも職場にも強制力はありませんので自己判断で良いと思います。
自分が入手できる情報源のしっかりしている情報を元に考え、わたしは自分と大切な人を守るために接種を決めました。また、大切な人には接種してほしいと思っています。
お得にマイホームを手に入れたい!今なら受けられる支援策4つ
現在マイホーム計画進行中の我が家ですが、もともとはもっとゆっくり進める予定でした。
ところが、ちょっと良さそうな土地が見つかったこともあって予定より早く進行中です。
今回はまだまにあう!受けられる支援策をまとめます。
最大600万円控除!住宅ローン減税
住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得または増改築等をした場合、年末のローン残高の1%を所得税(一部住民税)から最大13年間控除する制度です。
借入限度額 | 最大控除率 | 期間 | 最大控除額 | |
認定長期優良住宅 認定低酸素住宅 |
5,000万円 | 1% | 13年間 | 600万円 |
一般住宅 | 4,000万円 | 1% | 13年間 | 480万円 |
注文住宅は2021年9月30日までに、分譲住宅は11月30日までに契約し、2022年12月31日までに入居した人が対象になります。
控除額は最初の10年間は年末ローン残高の1%、11〜13年目は「年末ローン残高の1%」と「建物本体価格の2%÷3」のいずれか低い方の額になります。
この支援策は現在見直しをされており、住宅ローン金利が1%未満に設定されている商品が多い状況から、今後この「最大控除率」が引き下げられることがほぼ決まっています。
この支援策を最大限に利用したい方は早めに動き始めましょう。
すまい給付金
消費税率引き上げに伴い、税負担の増加による影響を減らすことを目的に作られた支援策で、令和元年10月1日の消費税率10%への引き上げに伴って最大給付額が30万円から50万円に引き上げられました。
年間収入額の目安 | 給付額 |
450万円以下 | 50万円 |
450万円超 〜 525万円以下 | 40万円 |
525万円超 〜 600万円以下 | 30万円 |
600万円超 〜 675万円以下 | 20万円 |
675万円超 〜 775万円以下 | 10万円 |
775万円超 | ➖ |
住宅ローン減税によっても効果が限定的な所得層に対する支援策ですので、収入が上がるほど給付額は減り、775万円を越えると給付はありません。
この支援策も注文住宅は2021年9月30日までに、分譲住宅は11月30日までに契約し、2022年12月31日までに入居した人が対象になります。
グリーン住宅ポイント
新型コロナウイルス感染症の影響によって落ち込んだ経済の回復を図るために新設された支援策です。名前の通り「ポイント」が発行されます。
基本① | 高い省エネ性能等を有する住宅 (認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH等) |
40万pt |
基本② | 一定の創エネ性能を有する住宅 (断熱等級4かつ一次エネルギー等級4以上) |
30万pt |
加算 | 1)東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県(条件不利地域除く)からの移住 2)多子世帯(18歳未満の子3人以上) 3)三世代同居仕様 4)災害リスクが高い区域からの移住 1)〜4)のいずれかの要件に該当する住宅 |
基本① +60万pt 基本② +30万pt |
ポイントは家電や家具、日用雑貨、食料品、ベビー・キッズ用品など、様々なものと交換できます。
注文住宅、分譲住宅ともに2021年10月31日までに契約し、2022年4月30日までには工事完了報告をする必要があります。この支援策は期限が迫っています。間に合う方はしっかり活用しましょう。
最大1,500万円まで非課税!贈与税非課税枠
父母や祖父母などの直系尊属から資金を贈与により受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度です。
適用住宅 | 非課税枠 |
質の高い住宅 (認定長期優良住宅、認定邸炭素住宅等) |
1,500万円 |
一般住宅 | 1,000万円 |
受贈者の条件(年所得が2,000万円以下、贈与年の翌年3月15日までに新築または取得など)や家屋の要件など、満たす必要のある項目がありますので、贈与を受ける予定の方は要チェックです。
住宅:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 - 国土交通省
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、新設、延長された制度です。現在の経済状況を見ていると今後も何らかの支援策はあるはずです。
また地球温暖化対策が強化されますので、太陽光発電や蓄電池に関する補助も始まることが予想されます。
ただ先のことはまだはっきりしていません。
今は住宅ローン金利も低く、支援策も多くある良いタイミングですので、家の購入・新築を検討している方は早めに進められることをお勧めします!
【雑記】立ち会い出産してみて、夫婦でこんなにも認識が違ったか!という気づき。
先日、久しぶりに腰痛で苦しみました。
それを見ていた夫から「陣痛の時も腰が痛いって言ってたよね」と言われ、ふと立ち会い出産の話になりました。
妊娠当初、夫は絶対立ち会い出産はしないと言っていたにも関わらず、妊娠期間に気持ちが変わったようで、最終的にはビデオカメラまで購入して意気揚々と立ち会ってくれました。
妻としては
こどもの父親が出産の瞬間を目にするのは「父親になった」という気持ちを持てて良いのではないか。
陣痛で苦しむ時に夫がいてくれるだけで心強い。(何もできなくてもいてくれれば良いのです。)
と思っていましたし、実際に立ち会い出産を経てこの通りだったなと思っていました。
当然、夫も立ち会い出産をしてよかったと思っていると信じていたし、もし二人目ができた時も立ち会い出産をしてくれると思っていました。
しかし、夫の思いは全然違いました。
よくSNSなどでみる「陣痛中の妻にひどいことを言われた」とかはなかったようです。
むしろ「触らないでいい!大丈夫!」とわたしに言われたらしく(←陣痛中に何言ったかなんて記憶にない)、痛みの中でも最大限に気をつかってくれていると思ったのだそう。
それよりも、陣痛中に痛くて叫ぶ姿や合間に気を失うように寝落ちする姿、助産師さんにお腹を押される様子など、わたしの様子が普段と全く違って苦しんでいる姿がトラウマなのだそう。
もう二度とあんな姿は見たくない。だから二人目をつくることにも積極的になれない。
立ち会い出産しなければ見ないから大丈夫とか、そういうことじゃない。
そう言われました。
良いことだらけだと勝手に思っていた立ち会い出産。まさかの夫にとってはトラウマでした。
二人目が欲しいわたしにとっては「産むのも苦しむのもわたしなんだし、いいじゃん!」という気持ちですが、子作りは夫婦のこと、家族のこと。
話し合わなきゃな…と思った出来事でした。
出産時のトラブル 恥骨結合離開を知っていますか?
妊娠、出産には色々なトラブルがあります。
妊娠初期にひどいつわりで苦しんだ方、切迫流産や切迫早産になって安静を指示された方…。
全く何もなかったよ、という方が珍しいのではないでしょうか?
わたしは吐きつわりとよだれつわりに苦しみ、落ち着いたと思ったら切迫になり、5ヶ月頃からは後鼻漏に悩み…。
産めば全部解放される!と思っていたのに、産後は恥骨結合離開で苦しむことになりました。
なってから初めて知った「恥骨結合離開」。
産後慌ててネットで検索しまくりました。
わたしの経験談とあわせて綴ります。
恥骨結合離開とは
妊娠3ヶ月頃から産後数日頃まで「リラキシン」というホルモンが分泌されます。
このリラキシンの作用により骨盤まわりの靭帯や関節を柔軟にすることで産道が広がり、妊娠の維持と出産の補助の役割を果たしているホルモンです。
へそに指を当て、お腹に沿っておろしていくと骨に当たります。ここが恥骨ですが、左右にある恥骨は真ん中に靭帯があり、ここを「恥骨結合」と呼びます。
通常は2〜3mmですが、妊娠中にもやや広がり、出産時に大きく離開するため分娩直後は7mm程度になります。
これが12mm以上になると病的離開となり、急激な離開により靭帯が損傷して強い痛みを伴います。これが「恥骨結合離開」。
ちなみに20mm以上に離開する場合は「恥骨結合破裂」と呼ばれます。
症状は何よりまず「激痛」です。動くことで激痛が走ります。
そのため、立ち上がる、起き上がるといった動作ができなくなります。寝返りもうてません。
痛みが治まってきても骨盤が不安定であるため脚をあげることができず、歩行することができません。ただ、すり足で後ろ向きに進むことはできます。
原因
ホルモンで恥骨結合がゆるむこと+αがあっておこることが多いです。
もともと姿勢が悪かったり、運動不足で筋力が低下していたりすると、妊娠中から恥骨結合に痛みを感じることがあります。
また赤ちゃんが大きかったり、骨盤が狭かったりしても、出産時に急激に負荷がかかることになります。
治療方法
基本的には保存的治療をします。つまり、手術が必要になることはほぼないということです。
過去の論文などを見ていると40mmに開いていたり、経過をみていても改善がない場合は手術をすることもあるようですが、症例報告されるくらいですので稀なことです。
ほとんどは1ヶ月もすれば歩行できるようになります。
まずは鎮痛剤をのんで安静にします。
無理に歩いたりせず、骨盤ベルトがある場合は使用して安静にします。
よく整体などホームページで「骨盤を整えます」とあります。これが必要かと言われると、医師としては「するなら自己責任で」。
一つ言えることは
ほぼ全例で恥骨結合は1ヶ月程度で元の距離に戻り2、3ヶ月で安定します。
それ以降も症状が続く場合は次の手として検討しても良いと考えます。
わたしの場合
出産トラブル
切迫早産で安静を指示されていたため、妊娠中の運動量は激減していました。
さらに出産前に産院で助産師さんから恥骨結合部分を押された時に痛みがありました。
今思えばこの時点で不安満載ですが、当時のわたしは全く気にせずに普段通りの生活を送っていました。
出産予定日の夜に陣痛が始まり初産婦の平均的な時間で出産したのですが、3つのトラブルがありました。
一つ目が回旋異常。赤ちゃんは骨盤を通りぬける時に横に回りながら降りてくるのですが、我が子は逆向きに回ってしまったのです。一旦戻ってくれたものの十分に回りきらず、半ば無理やりのようにイキんで、助産師さんにお腹を押してもらっての出産でした。
二つ目が予想以上に赤ちゃんが大きかったこと。推定体重3200gだったのですが、出てきてびっくりの3700gオーバー。エコーをした先生も助産師さんもびっくりしていました。
三つ目が子宮が収縮せずに出血が多かったこと。産後しばらくは安静を言い渡され、2時間ほどは寝たままになっていました。
起き上がれない
産後安静解除になり、さあ起き上がろうとした時でした。
あれ?力が入らない。お股が痛い!
すぐにナースコールを押して「動けないんです」と助産師さんに訴えました。
その助産師さんは「え?」という顔をした後、すぐに「包帯持ってきて!師長よんで!」と同僚に指示を出し、骨盤あたりを触った後に師長さんと二人で骨盤をぐるぐる包帯で締めてくれました。
「今ベルトがないから包帯でごめん」と言いながら、「骨盤が緩んでいるんだと思う。」と説明してくれました。
幸いにも電動ベッドだったため頭は起こすことができ、我が子もだっこできましたが、ベッドから降りることも寝返りを打つこともできませんでした。
先生に「恥骨結合離開でしょう」と説明を受け、もともと処方されていたボルタレンを飲みながらの安静生活になりました。
一緒に退院したい
初日は尿道カテーテルを入れてもらい、ベッド上で生活をしました。
2日目は痛みはかわりませんでしたが、コツを掴んだのか、起き上がるのが上手になっていました。なんとか立ち上がることもできます。
助産師さんたちは母子同室にしなくてもいい、哺乳瓶やミルクは全部準備するから大丈夫、寝返りのお手伝いもする、と言ってくれたのですが、我が子と一緒にいたかったわたしは頑張って少しずつ動くことを決めました。
夫が前もって出産予定日付近に休みを取ると伝えていたため、産後一週間お休みを取れたことも幸いでした。
日中は夫の手を借りて、夜は助産師さんの手を借りて、なんとか母子同室も可能な状態でした。
長い距離は車椅子で移動していたのですが、3日目に気がつきました。
「わたし後ろ向きになら歩ける!」
それからは後ろ向きに休憩しながら歩いていましたが、ナースステーションにいた看護師さんから「誰かがムーンウォークしてる!ってびっくりした」と言われた時は夫と大笑いしました。
産院のこの雰囲気がわたしを落ち込ませなかった一番の要因だと思っています。本当にあの産院で産んでよかったと今でも夫と話しています。(←コロナをきっかけに、先生も高齢だったこともあってお産をとらなくなったそうです。二人目もここでって思っていたのに…。)
先生からは「入院期間を延長しても良い」といわれましたが、なんとか予定通りに我が子と一緒に退院したいという一心で歩く練習をしていました。
結局歩けないけどなんとかなるか
産後5日たちましたが、結局はムーンウォークが精一杯で、立ったままでは着替えることもできない状態でした。
痛みも続くし、動くと恥骨の真ん中がごりごりいってるし…。
本来なら入院継続で安静にした方が良かったのでしょう。が、県民性なのか、うちの家族の気質なのかわかりませんが、母もわたしも「大丈夫でしょ。なんとかなるよ。」と。
幸い、わたしは里帰り出産で、母が自分の経験からリクライニングベッドを準備してくれていました。
実家は平屋で段差がほとんどなく、親のサポートを受けられる安心感もあって予定通りに退院しました。
退院を前にトコちゃんベルトを購入しました。
恥骨の緩みが問題だったので、トコちゃんベルトⅠです。←ここ大事!
結局3週間ほどはずっとムーンウォークでした。
それでも徐々に痛みはなくなり、足を前に出すこともできるようになり、3段の階段を後ろ向きで上り下りできるようになり。
1ヶ月経つ頃には前向きに歩行できるようになりました。
今では普通に歩いていますし、子供と一緒に走っています。
整体に行くことも考えましたが、少しずつ良くなっていたので、調べるだけ調べて結局行きませんでした。口コミよかったところが遠かったんですよね…。
さいごに
最初に動けなくなった時はとても不安でしたし、色々検索しました。
こどもの世話ができないのではと心配しました。
結果、恥骨結合離開の一番の薬は「時間」なのだと思います。
反省しているのは、もう少し安静にしたほうが治りは早かったのかな…ということ。
なにより周囲のサポートが必要になるこのトラブル。
今この症状がある方は周りに甘えてゆっくりしましょう。
【女医の働き方】キャリアか家庭かその両方か。働き方の色々。
ライフプランニング、したことありますか?
これから10年後、20年後、どんなライフイベントがあるのか。
自分と家族のこれからを想像しながら人生の計画をたて、いつどれだけのお金が必要になるのか見通しを立てていくことをライフブランニングと言います。
結婚や妊娠、出産をきっかけにライフプランを考える方も多いと思います。
まさにわたしがそうでした。
この働き方を続けていくことが正解なのかを考え、結局は転職をしています。
転職前には同僚の女医さんから相談を受け、その方も違う働き方を選択しました。
今日は女医の働き方について綴ります。
まずは何のために働くのかを考えよう
医師になった理由や専門を決めた理由は人それぞれ違います。
働く理由や目標も人によって違います。
自分は一体何のために働いているのか、一度立ち止まって考えることが働き方を選択する上で最も大事なことだと思います。
キャリアのため
女性の社会進出が進み、世間よりはだいぶ遅れているこの医者の世界でも、大学や総合病院で女医がトップにいることもちらほら見かけるようになりました。
この業界でトップに立ちたいと思う女性も以前より増えているのではないでしょうか。
正直そのような女医さんを見ると、カッコいいし羨ましいと思います。
そのためには専門医をとって、学位を取って、留学をして、論文を書いて、学会で発表して…といった診療以外の部分も人一倍力を注ぐ必要があります。
お金のため
正直働きたくない。でも働かないと収入がない。
医者の中にもそんな考えの方はもちろんいます。
決して悪いことだとは思いません。むしろそれが普通ではないかと思います。
生きていくにも好きなことをするにも、お金は絶対に必要なんですから。
社会とのつながりを持つため
育休を取っているときに「孤独」を感じた人は少なからずいると思います。
家族以外の大人と話をしたい。。。
まさにわたしがそうなのですが、仕事をしていると社会とのつながりを感じられるし、この職業ならではなのかもしれないですが社会貢献している気持ちになれるのです。
ずっと家庭に入るのは無理だ。少しでも仕事に出たい。
そんな思いを持つ人は多いと思います。
優先順位をつけよう
自分が何のために働くのかを考えていると、自然と色々なことの優先順位が見えてくると思います。
自分のキャリア、家族との時間、子育て、収入、趣味…。
一度書き出してみてください。頭の中がスッキリまとまってくると、どんな働き方が一番あっているのか見えてくるかもしれません。
どんな働き方があるのか
医者の働き方ってそんなにあるの?と思われるかもしれませんが、意外と色々あるんです。
働く日数だって選べちゃうんです。もちろん働く場所にもよりますが。
具体的に見ていきましょう。
①医局に入って働く
キャリアを重視する人にとっては最も良いところでしょう。
医局に入って働いていると医局人事で異動がありますが、大学院への進学もスムーズですし、論文作成や学会発表の機会にも恵まれます。
留学先も上司のツテで見つけられることもあります。
着実にキャリアを積んでいくことができると思います。
一方で、医局人事で異動しなければいけないこともありますし、大学病院にいると定時で退勤はほぼ無理でしょう。
良くも悪くも「昔からのやり方」を大事にする傾向にあるからです。
②診療の最前線で働く
キャリアを求めるわけではないけれどもバリバリ働きたい!
色々な手技ができるようになりたい!多くの患者さんを救いたい!
そんな人はわざわざ医局に入らなくても、大きな市中病院に就職した方が正解でしょう。
わたしもこういう働き方キライではない、というか好きです。
問題は、何歳までこの働き方を続けられるのか…ということでしょうか。
③パートタイムで働く
医局に入っていても、民間の病院でも可能です。
医者にだって9時〜15時勤務で働くという選択肢もあるのです。
医局人事の中でのパートタイムであれば、仕事を保証してもらえるので安心して働けるのではないでしょうか。
わたしの周りにはこの働き方を選択している女医さんが多くいました。
ただ「時間内に仕事が終わらない」「周囲に気をつかう」などの話はよくありました。
④フルタイムで働くが、当直・オンコールはなし
フルタイムで働くけれども時間外は一切できません!という働き方。
医局よりも民間の病院の方が許してくれることが多い気がします。
わたしが今この働き方をしていますが、そういう契約をして就職していますので、定時で帰ることに一切の気まずさはありません。
(むしろ周りに帰らなきゃと言われます)
ただ、子供がまだ保育園児だからできる働き方かな…とは思っています。
⑤非常勤勤務(アルバイト勤務)のみ
この病院には毎週月曜に外来をしに行きます。
あの病院には隔週土曜日に当直をしに行きます。
というような働き方です。
もちろん病棟は担当しないので、自分の時間はしっかりとれるし、とても自由な働き方ができます。
しかし仕事が必ずあるという保証はありません。
「来月いっぱいで…。」なんて言われることもありうるのです。
どの働き方も一長一短
色々な働き方を書きましたが、人生の場面によっても自分にあう働き方は違うと思います。
ずっと同じ場所にいても良いし、その時々で何回も転職しても良いと思うのです。
選択肢を知って、それを選んで良いことを知ることはとても大切で、自分の状況に合わせて選択を繰り返していくことが人生ではないでしょうか。
女性医師ならではの問題も沢山あります。
色々な選択肢を知り一歩を踏み出して行きましょう。